個別受診勧奨・再勧奨(コール・リコール)実施のために
各自治体で個別受診勧奨・再勧奨を実施するために考慮すべき点がいくつかあります。どのような個別受診勧奨・再勧奨を行うか、そしていつ実施すべきか、その場合の予算とコストなどの点です。まずは現状を把握し、各自治体に合った実行パターンを探しましょう。
現状を把握する
まずは現状ご自身の自治体が行っている受診勧奨を整理し、既に効果が確認されている手法に比べて何が足りないのか、もしくはどのような手法であれば現状の受診勧奨を活かしたうえで取り入れやすいのかを検討しましょう。またいずれのがん検診を対象とするか、どの年齢・性別を対象とするかも併せて検討しましょう。
現状行っている受診勧奨を把握
受診率が向上する3つの活用パターン
個別受診勧奨・再勧奨とは、個人に対する受診の働きかけですが、その方法としてはがん検診についての案内(リーフレットやはがき、無料クーポン・受診チケットなど)を郵送するだけでなく、電話による受診の勧めやもしくは自宅を訪問するなど、いろいろなやり方が考えられます。ここでは、既に国内の自治体で実施され大きく受診率を向上した、主に郵送を活用した3つのパターンをご紹介します。
パターン1
リーフレットを送付し、再勧奨で別のリーフレットを送付-
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パターン2
従来の無料クーポンを送付し、再勧奨で新規リーフレットを送付-
パターン3
従来のチラシを送付し、再勧奨で新規リーフレットを送付-
受診勧奨資材と活用の手引きダウンロード
スケジュールを決める
どのようなタイミングでがん検診の個別受診勧奨と再勧奨、そして効果測定を行えばいいのでしょうか。
がん検診受診勧奨事業は継続的に行っていくのが理想的です。受診率を効果的に向上させ、そして次年度予算要求までに効果検証が間に合う形で実行するには以下のようなスケジュールがモデルケースとして考えられます。
1-3月・・・
実施の準備
4-5月・・・
個別受診勧奨(リーフレットの送付)
9月・・・
再勧奨(もう1度リーフレットを送付する)
10月・・・
速報値による効果測定、その結果を使って次年度の予算請求、計画策定
3月・・・
最終的な効果測定、次年度予算確保
※自治体によって、検診の実施機関や予算請求のタイミングなどは異なります。
予算を決める
死亡率の減少を目的としたがん検診は、できるだけ多くの方に検診に来ていただけるよう受診勧奨を行うことが重要です。しかし個別受診勧奨・再勧奨を行い、その結果受診者が増加すると、それに伴う費用がかかってきます。ここでは5000名を対象として受診勧奨を行った場合に、各がん検診でかかるコストの目安をご紹介いたしますので、予算獲得の際の参考にして頂ければと思います。
また、効率よく予算をやりくりし受診率を上げるための戦略もいくつかご紹介します。
5000名を対象に受診勧奨を行った場合のコスト
予算を効率よくやりくりするには
現状の施策の有効活用
- 現状送付している案内文のメッセージをもっと有効なものに差し替える → 追加コスト:受診勧奨の追加コストはほぼなし、検診追加コスト(受診者増に伴い増加)
- 現状の郵送物にリーフレットを同封する → 追加コスト:リーフレットの印刷費のみの追加
新規に行う個別受診勧奨のコストを押さえる
- 勧奨対象者を選んで絞り、低コストで効果の出る受診勧奨をする(年齢、過去の受診履歴などをもとに) → 追加コスト:ターゲット人数分リーフレット印刷費、郵送費、封筒代、検診追加コスト
- がん種を絞る:まずは検診コストが低い大腸がんなどからはじめる → 追加コスト:追加コスト:リーフレット印刷費、郵送費、封筒代、検診追加コスト(但し他のがん種類よりも低コスト)
- はがきで勧奨する:場合によってリーフレットより低いコストのはがきを使う → 追加コスト:はがき印刷費、郵送費、封筒代、検診追加コスト
がん検診に関わる予算の中でやりくりする(受診勧奨予算の捻出)
- 自己負担額の増額 → 自己負担額の増額分から追加コスト(リーフレット印刷費、郵送費、封筒代、検診追加コスト)を補填
- 提供する検診の見直し(指針外の検診をやめる、など) → より有効な検診の実施の追加コスト(リーフレット印刷費、郵送費、封筒代、検診追加コスト)を補填
効果検証を行う
資材をご利用いただく際には、こちらのファイルにより年度末の効果検証結果のご報告をお願いしています。日常の業務評価のためにも是非ご活用ください。
効果検証ファイルのダウンロード
より詳しく受診率向上の評価を行いたい方に、対象の設定の仕方や効果検証方法のご説明をご提供しています。効果検証シートに受診者数のデータを入力すると、グラフや有意差検定結果が自動で表示されます。
こちらでの報告は必須ではありません。