科学的根拠に基づく受診率向上手法とは

受診率を効果的に向上させるにはどのような対策を取ったら良いのでしょうか。

指針の一つとして、アメリカ疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)によってその効果が検証されている“個別受診勧奨・再勧奨”の実施が挙げられます。この手法は、既に国内でも大きな成果を上げています。このページでは、まず、検診に対する国民の意識を理解していただき、その上で、なぜ“個別受診勧奨・再勧奨”が効果的なのかをご紹介します。

個別受診勧奨

がん検診を受けてもらうには個別受診勧奨で「きっかけ」を与えることが有効です。

近年ピンクリボンキャンペーンなどのおかげで、国民の間にもがん検診の有効性が知られるようになってきました。 例えば乳がんに関する女性の意識調査によると、マンモグラフィによって早期の乳がんが発見できるという知識の認知度は、平成17年の55%に比べ平成19年には70%と、飛躍的に上がっています。ところが乳がん検診の受診率を見てみると、平成16年は19.8%、平成19年は20.3%とさほど変化が見られません。

認知度が上がってもがん検診の受診率は上がらない
がん検診を受けない理由1位は「たまたま受けていない」
  • ではなぜ人々はがん検診の有効性を知っていながら受診しないのでしょうか。

    平成19年に内閣府が行った世論調査によると、がん検診を受けない理由として最も多くあげられたのは「たまたま受けていない」でした。

行動に移すには、きっかけを提供する「個別受診勧奨」が効果的

がん検診を受けてもらうためには、その認知度を上げるのみならず「きっかけ」を与えることが不可欠です。このきっかけを与えるために有効なのが、“個別 受診勧奨・再勧奨” なのです。

受診行動に影響を与える要因

個別受診勧奨とは、広報活動のような広く一般に向けたキャンペーンとは一線を画し、主に郵送や電話などによる、”その人個人に向けた受診の勧め”を指します。そして、それでも受診しない未受診者に向けて再度受診を働きかけるのが再勧奨です。

個別受診勧奨+再勧奨で受診率が飛躍的に上がる

効果的なコミュニケーション ~ ソーシャルマーケティングの活用 ~

ソーシャルマーケティングとは、費用対効果を重視し、徹底した市場調査に基づき商品等のプロモーションを行うマーケティング手法を公衆衛生などの公共政策に取り入れ、一般市民への普及啓発を戦略的に行う取り組みです。

アメリカのナショナル・キャンサー・インスティチュートや英国のナショナル・ソーシャルマーケティング・センターなど、欧米では、先駆的取り組みとして、国の施策に取り入れられ始めています。

必要な情報や効果的なメッセージを簡潔にわかりやすく伝える

これまでに実施された住民に対するインタビュー調査では、自治体から配布される健康情報や生活習慣病予防、各種検診について知らせるチラシについて「情報が多く 内容がわかりづらい」という声が多く聞かれました。

内容が多すぎてわかりづらい

さらに自治体でがん検診を受けられることすら知らない住民が一定数いることもわかっています。情報が溢れた現代の社会では自分に興味のある限られた情報しか目に入りません。

自治体でがん検診を受けられることすら知らない住民がいる
  • 全住民に向けたチラシでは、多くの情報を一度にカバーする必要がありますが、個人に向けた個別受診勧奨・再勧奨は、まさにがん検診の対象者に対して行う働きかけです。受診を促すために必要な情報や、その年代の人に響くメッセージを整理し、わかりやすく伝えることが重要です。

    整理して効率よく伝えなければ必要な情報は伝わらない

対象者やがん種を絞り、簡潔に必要な情報だけを伝える
  • ひな形リーフレット

  • 伝えるべき内容

    ・乳がんの重大性
    ・乳がん検診の有効性(早期発見の効果)
    ・乳がん検診とはどのような検査か
    ・受診申し込みのための具体的なステップ・医療機関一覧など
    ・助成金や個人負担について

 詳しくは「活用の手引き」をご覧ください。

 受診勧奨資材(リーフレット・圧着はがき・封筒等)を無料提供中